2013年11月25日月曜日

ブランドバッグ栄枯盛衰②LANCEL(ランセル)


ブランドを殺すのは誰か。

ブランドバッグ栄枯盛衰①JIL SANDER(ジル・サンダー)でご紹介したブランド論に引き続き、今回もオロビアンコの行く末を占うような事例を紹介したいと思います。

日本に未上陸のブランドを、商社なり、セレクトショップのバイヤーなりが海外で発掘しても、メーカー側が「いやいや、自分達は自国内の顧客が買ってくれる分だけを細々と作っているだけですから・・・」や「顔の見えない相手に売るのは嫌だ・・・」なんていう弱気な発言をすることが考えられます。我が子のように愛情を込めて育てたブランドですから、当然信頼の出来る相手でなければ任すことはできません。

ただ、「じゃあ、最初は少しだけ」と言って輸出した商品が東の国で飛ぶように売れ「追加注文!追加注文!」となった場合、工場の生産能力が追いつかず、ついつい日本側の「じゃあ、日本(中国)の工場で同じようなテイストのものを作りますから、ね。それが売れれば、ロイヤルティーをお支払いしますよ?」という声に耳を傾けてしまうのも無理のないことなのかもしれません。

下にジージャンを紹介するLANCEL(ランセル)も同じような経緯を辿ったのでしょうか。

 都内の古着屋で見つけたいかにも昔のブランド臭がぷんぷんの一着。

定価は驚きの¥39,000。

一度ブランド価値が下がると、再起は難しい


LANCEL(ランセル)は日本でも一時人気がありました。1980年代でしょうか。その後、安っぽいライセンスの革小物(財布やキーケース)や服飾小物(ベルト、ハンカチなど)が大量に作られ、すっかりそのブランド価値を損ねてしまいました。

再起を図り、日本では住友商事とリシュモンジャパン(ダンヒルやクロエを展開する企業グループ)の合弁でランセルジャパン株式会社が設立されますが、ほんの数年で撤退してしまいました。六本木ヒルズの別館のような場所(けやき通り)にアンテナショップをつくったかと思ったら、すぐさま越谷レイクタウンのアウトレットゾーンに店舗を構えてしまう節操の無さ。

じっくり火がつくまで待とうという悠長な販売戦略を現代では取れなくなっている以上、ブランドの立ち上げ、展開にはより慎重にならざるを得ないという結論になります。
オロビアンコはイタリアの本社、しいてはCEOのジャコモ氏がアジア地域のエリアマネージャーとともに厳格にブランド管理をしているので、致命的なミスはそうそう起こらないかと思いますが、とにかく色々なアイテムを開発している(シューアイスからサンダルまで)ので、どこかで誤った商品を作ってしまうと、ブランド全体のイメージに関わるような事態に発展しかねないと思われます。

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